はじめまして、投資家の関原大輔(@sekihara_d)です。
今回は「JR西日本の株価」を予想して、回復に時間がかかる5つの理由を解説していきたいと思います。
🔳 JR西日本の株価を予想【コロナの影響は甚大】
✅コロナで株価は半値に下落
✅直近は2期連続の赤字が確実
✅コストの削減が進む
✅最低限の配当は維持
🔳 JR西日本の株価を予想【回復には時間がかかる】
✅需要の回復には時間がかかる
✅コロナ前の需要には戻らない
✅23年3月期の復調を目指す
✅コロナ前の業績は、ほど遠い
✅株価はそれほど割安ではない
「JR西日本の株価は、今後どうなるかな・・・」
今回は、そんな疑問にお答えしていきます。
【結論】JR西日本の株価は、回復までにかなりの時間を要します。
同社にとってコロナの影響はあまりにも大きく、2期連続の巨額赤字となることが確実です。
今後もコロナ前の需要を取り戻すことは難しく、業績回復にはかなりの時間を要するでしょう。
今回は「JR西日本の株価」を予想して、回復に時間がかかる5つの理由を解説していきたいと思います。
JR西日本の株価を予想【コロナの影響は甚大】
それでは「JR西日本の株価」について、予想していきましょう。
JRにとって直近のコロナ禍による影響は、あまりにも甚大です。
まずは同社における、株価と業績の現状から整理していきましょう。
コロナで株価は半値に下落
JR西日本の株価は、コロナの影響で大きな暴落に見舞われました。
下図に直近10年間における、JR西日本の株価チャートを示します。
西日本旅客鉄道(9021)株価チャート_10年
2019年には1万円に迫った株価ですが、コロナ禍の2020年には4,400円まで下落しました。
たったの8ヶ月で、株価が半値になってしまったのです。
まさにコロナの影響を大きく受けた典型的な事例で、恐ろしいほどの暴落です。
JRのような輸送業界は、コロナの影響を最も受けた業種の1つといえるでしょう。
直近は2期連続の赤字が確実
JR西日本の業績は、2期連続の赤字となることが確実です。
下図に、JR西日本の業績推移と見通しを示します。
西日本旅客鉄道(9021)業績推移と見通し
(四季報 21年9月17日更新)
JR西日本では21年3月期の純利益が、▲2,332億円の巨額赤字となりました。
そして22年3月期の業績予想においても、▲990億円の最終赤字が予想されています。
このようにJR西日本はコロナの影響が甚大で、2期連続の巨額赤字が確実です。
業績が回復するには、まだかなりの時間を要するでしょう。
コストの削減が進む
JR西日本では、この難局を乗り越えるべく、コストの削減が進められています。
下図に同社における、コスト削減の推移と見通しを示します。
営業費用(コスト削減)の見通し
同社では今後の運輸収入が減っても安定的な利益を確保できるよう、コストの削減が進められています。
アフターコロナへ向けて業績を回復させるべく、構造的な改革が進められています。
最低限の配当は維持
コロナで巨額の赤字に見舞われた同社ですが、配当による株主還元は維持されています。
下図にJR西日本における、配当金の推移と見通しを示します。
西日本旅客鉄道(9021)配当金の推移
21年3月期は巨額の赤字となり、さすがに減配となりましたが、それでも100円の配当は維持されました。
続く22年3月期の予想値でも、100円の配当金が維持される見通しです。
減配とはいえ、それでも配当利回りは1.9%(21年10月時点)あり、最低限の配当は維持されました。
この巨額赤字の状況のなかでは、十分な還元が維持されていると言えるでしょう。
JR西日本の株価を予想【回復には時間がかかる】
ここまで同社における、株価や業績の現状について整理してきました。
そして今後の株価についてですが、回復にはかなりの時間を要します。
以下に回復に時間がかかる5つの理由について、1つずつ解説していきます。
需要の回復には時間がかかる
鉄道の需要が戻るには、まだかなりの時間がかかる見込みです。
下図にJR西日本が発表した、22年3月期における鉄道需要の見通しを示します。
元々の予測では、21年11月を目途に、コロナ前の9割まで回復するという想定でした。
それが7月~9月の緊急事態宣言の影響により、想定していた回復が遅れています。
思うように需要が回復せず、すでに業績予想も下方修正されている状況です。
コロナ前の需要には戻らない
そしてもう1つの問題は、コロナが終息したとしても、鉄道需要は元には戻らないことです。
コロナの影響で、社会の仕組みは大きく変わってしまいました。
テレワークも普及し、会議もZoomなどのオンライン開催が定着したためです。
この変革により、ビジネスマンが出張する機会も、大きく減ることが確実です。
JR西日本では上図のように「運輸収入は9割までしか戻らない」と仮定しています。
たとえコロナが終息しても、鉄道需要は元には戻らないでしょう。
23年3月期の復調を目指す
JR西日本では23年3月期の業績復調を目指し、再建が進められています。
下図に、同社の業績推移と見通しを示します。
西日本旅客鉄道(9021)業績推移と見通し
(単位:百万円)
先述した通り22年3月期の業績は、2期連続の赤字となることが確実です。
しかし、その後の23年3月期の予想においては、業績の黒字化が予想されています。
23年3月期はコロナから完全に脱却し、売上高も大幅な増収が予想されています。
業績回復には時間がかかりますが、早期の黒字化を目指し、少しずつ復調へと向かうでしょう。
コロナ前の業績は、ほど遠い
業績の復調を目指す同社ですが、それでもコロナ前の業績には、まだほど遠い状況です。
下図にJR西日本における、業績の長期推移を示します。
西日本旅客鉄道(9021)売上高の推移
西日本旅客鉄道(9021)純利益の推移
先ほど示した23年3月期の業績予想では、売上高が約1.4兆円、純利益が約700億円の見込みでした。
しかしそれでもまだ、コロナ前の水準には戻りません。
先述した通り、今後の鉄道需要はもう、コロナ前の水準には戻らない見込みです。
よって業績がコロナ前の水準を取り戻すには、まだかなりの時間を要するでしょう。
株価はそれほど割安ではない
JR西日本の株価は、直近2年間で大きく下落しましたが、株価はそれほど割安ではありません。
下記に同社の株価指標について、日経平均との対比を示します。
株価の指標(2021年10月時点)
日経平均 | JR西日本 | ||
PER(会社予想) | 倍 | 14.0 | - |
PBR | 倍 | 1.3 | 1.2 |
配当利回り | % | 1.9 | 1.9 |
同社の株価はコロナ禍で半値になったにも関わらず、PBRや配当利回りは、平均値と同じ程度の水準です。
これでは業績が巨額赤字の今、株価が上昇する要素は乏しい状況です。
よって業績や配当がしっかりと回復するまでは、株価の上昇は難しいでしょう。
まとめ
以上により、今回は「JR西日本の株価」を予想して、回復に時間がかかる理由を解説させて頂きました。
ここまで解説してきた項目について、最後にもう一度おさらいしておきましょう。
🔳 JR西日本の株価を予想【コロナの影響は甚大】
✅コロナで株価は半値に下落
✅直近は2期連続の赤字が確実
✅コストの削減が進む
✅最低限の配当は維持
🔳 JR西日本の株価を予想【回復には時間がかかる】
✅需要の回復には時間がかかる
✅コロナ前の需要には戻らない
✅23年3月期の復調を目指す
✅コロナ前の業績は、ほど遠い
✅株価はそれほど割安ではない
【結論】JR西日本の株価は、回復までにかなりの時間を要します。
同社にとってコロナの影響は甚大で、鉄道の需要が戻るまでには、まだかなりの時間が必要です。
テレワークやZoomのオンライン技術が普及した今、鉄道の需要は、もう元には戻らないとされています。
コロナ前の業績を回復するには、まだほど遠い状況で、株価の回復には時間がかかるでしょう。