はじめまして、投資家の関原大輔(@sekihara_d)です。
今回は「NYダウ・ナスダック・S&P500」の違いについて、比較を交えて徹底解説したいと思います。
🔳ダウ・ナスダック・S&P500の違い【概要を比較】
✅NYダウとは
✅ナスダックとは
✅S&P500とは
🔳ダウ・ナスダック・S&P500の違い【値動きを比較】
✅平均利回りの実績を比較
✅暴落時の、下落幅を比較
🔳NYダウ・ナスダック・S&P500の違い【総括】
✅成長率の高さはナスダック
✅安定度は大型株主体のダウ
✅初心者にはダウがおすすめ
「NYダウ・ナスダック・S&P500の違いを教えて・・・」
今回は、そんな疑問にお答えしていきます。
NYダウ | ナスダック | S&P500 | |
成長率 | 〇 | ◎ | 〇+ |
安定度 | 〇 | × | △ |
初心者向き | ◎ | △ | 〇 |
特徴 | 大型株主体 | IT・新興株 | 幅広く網羅 |
米国の株価指数は「NYダウ・ナスダック・S&P500」の3つがありますが、それぞれで特性が異なります。
NYダウはIT銘柄が少なめで、他の指数と比べ安定的な値動きを持つことが特徴です。
その逆に位置するのがナスダックで、IT銘柄を含む新興株が多く、値動きの激しい面が特徴です。
今回は「NYダウ・ナスダック・S&P500」の違いについて、比較を交えて徹底解説したいと思います。
ダウ・ナスダック・S&P500の違い【概要を比較】
それでは「NYダウ・ナスダック・S&P500」の違いについて、解説していきましょう。
まずは基本的な知識として、3つの指数の概要から整理していきましょう。
NYダウとは
NYダウは1896年から算出が始まった、世界で最も長い歴史を持つ株価指数です。
米国を代表する大型株から厳選された、30銘柄で構成される株価指数です。
正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」または「ダウ工業株30種平均」とされます。
NYダウに選定される基準は、主に下記の基準を満たす、上位30社とされています。
NYダウの主な選定基準
- 時価総額が大きい
- 企業として極めて高い名声
- 数多くの投資家からの関心
- 持続的な成長
当初は工業株を中心に構成されていましたが、現在では幅広い業種で構成されています。
NYダウは米国を代表する「超大型株」で構成され、IT銘柄が少ない点が特徴です。
下記に、NYダウの組入上位銘柄を示します。
NYダウの組入上位銘柄
- ユナイテッド ヘルス グループ
- ゴールドマン サックス グループ
- ホーム デポ
- マイクロソフト
- ビザ
- セールスフォース ドットコム
- マクドナルド
実際にNYダウにはアマゾン、アルファベット、フェイスブックは組入されていません。
また大型株に厳選されるため、成長性の高い新興株も組入されていません。
よってNYダウは他の指数と比べ、値動きが安定している傾向があります。
ナスダックとは
ナスダックは米国の新興企業向けの株式市場であり、日本でいうマザーズやJASDAQのような市場です。
ナスダックにはIT銘柄やハイテク株が多く、新興企業の成長株が多いことが特徴です。
日本の企業も日産自動車や任天堂、三井物産などが、ナスダックの市場に上場しています。
主な銘柄は下記の通りで、IT・ハイテク関連株を中心に構成されています。
ナスダックの構成上位銘柄
- アップル
- マイクロソフト
- アマゾン
- アルファベット
- フェイスブック
- テスラ
- エヌビディア
- ペイパル
ナスダックはこのようにIT関連の成長株が多いため、成長率が格段に高い特徴があります。
NYダウは大型株で安定性に優れますが、ナスダックは新興株で値動きが大きくなることが特徴です。
よってナスダックはNYダウと比べ、ハイリスク・ハイリターンの市場になります。
実際の成長率の高さや、暴落時の値動きについては、次章で詳しく解説していきます。
S&P500とは
S&P500はニューヨーク証券取引所、ナスダックの企業から500銘柄を選定し指数化した株価指数です。
S&P500はダウやナスダックと違い、大型株から新興株まで幅広く網羅されています。
S&P500へ投資することで、全米の主要500銘柄へ、幅広く分散投資する効果が得られます。
組入上位銘柄は下記の通りで、ナスダックと同様に、上位はGAFAMで独占されています。
S&P500の組入上位銘柄
- アップル
- マイクロソフト
- アマゾン
- フェイスブック
- アルファベット
- バークシャー・ハサウェイ
- JPモルガン
- テスラ
- ジョンソン&ジョンソン
S&P500の特性は、NYダウとナスダックの中間のような位置付けになります。
S&P500はナスダックと同様にIT銘柄が上位を占めるため、ダウよりも成長率が高い傾向にあります。
さらにS&P500は大型株も組み入れ、構成も500銘柄と幅広いため、安定度も高い点が魅力です。
よって暴落時の下落幅は、ナスダックよりも小さくなります。
では次章から過去の実際の値動きについて、3指数を比較し、詳しく解説していきましょう。
ダウ・ナスダック・S&P500の違い【値動きを比較】
ここまで「NYダウ・ナスダック・S&P500」の概要について解説してきました。
ここからは過去の実績を検証し、値動きの特性について比較していきましょう。
下図に過去30年間における、「NYダウ・ナスダック・S&P500」の株価チャートを示します。
NYダウ株価チャート_30年
ナスダック株価チャート_30年
S&P500チャート_30年
平均利回りの実績を比較
まずはリターンの大きさについて、比較していきましょう。
下記に「NYダウ・ナスダック・S&P500」の平均利回りをまとめた、比較表を示します。
利回りは期間によって異なるため、10年、20年、30年の期間別に分類しています。
3指数の期間別平均利回り
10年 | 20年 | 30年 | |
NYダウ | 11.8% | 6.6% | 8.4% |
ナスダック | 19.5% | 11.3% | 11.9% |
S&P500 | 14.0% | 7.2% | 8.5% |
利回りは、ナスダックが断トツ
平均利回りが圧倒的に高いのが、ナスダックです。
どの期間においても、利回りの高さはナスダックが断トツです。
特に直近10年におけるIT株の成長は凄まじく、ナスダックの利回りは驚異の19.5%に及びます。
S&P500もハイリターン
次いで利回りの高い市場が、S&P500です。
S&P500も上位はIT株が占めており、直近10年の利回りは14.0%と高リターンです。
しかし全米の500銘柄へ幅広く分散されているため、ナスダックよりはリターンが劣ります。
NYダウは成長株が少ない
そして3指数の中で最も利回りが低いのが、NYダウです。
NYダウは新興株の組入れがなく、IT銘柄も少ないため、成長率では最も劣ります。
しかしそれでも過去30年間の平均利回りは8.4%もあり、成長力の高さは十分でしょう。
暴落時の、下落幅を比較
続いて市場の暴落時における、株価の下落率について比較していきましょう。
下記に暴落時における、3指数の下落率をまとめた比較表を示します。
ITバブル、リーマンショック、コロナショック時の下落幅を、それぞれ比較しています。
暴落時における株価の下落率
ITバブル | リーマンショック | コロナショック | |
NYダウ | ▲34% | ▲49% | ▲26% |
ナスダック | ▲75% | ▲53% | ▲19% |
S&P500 | ▲46% | ▲53% | ▲23% |
ITバブルではナスダックが暴落
まず2000年のITバブルで最も下落した指数は、ナスダックです。
この時のナスダックの下落率は▲75%と、とても大きな下落に見舞われました。
ナスダックはIT銘柄が主体のため、ITバブルでは最も被害が大きくなっています。
S&P500もIT銘柄が主体のため、下落率▲46%と大きく下落しています。
一方のNYダウは大型株主体でIT株が少ないため、ITバブルでは最も下落率が低くなりました。
リーマンショックでは均一に暴落
2008年のリーマンショックでは、すべての指数が、ほぼ均一に暴落しています。
下落率は3指数ともに49~53%の範囲となり、すべての指数が半値になりました。
強いて言えばNYダウの下落率が最も低く、大型株主体のため影響が小さくなりました。
コロナショックではダウが下落
一方、2020年のコロナショックでは、NYダウの下落が最も大きくなりました。
そしてナスダックの下落率が最も低くなっており、ITバブルとは真逆の傾向を示しています。
これはコロナショックでは、IT関連株への影響が少なかったためです。
よってIT株の少ないダウが最も下落し、IT株主体のナスダックの下落が最も小さくなりました。
NYダウ・ナスダック・S&P500の違い【総括】
ここまで「NYダウ・ナスダック・S&P500」の概要と、値動きの特性について比較してきました。
最後に3指数の特性と傾向について、総括したいと思います。
下記に「NYダウ・ナスダック・S&P500」の特性をまとめた、比較表を示します。
NYダウ | ナスダック | S&P500 | |
成長率 | 〇 | ◎ | 〇+ |
安定度 | 〇 | × | △ |
初心者向き | ◎ | △ | 〇 |
特徴 | 大型株主体 | IT・新興株 | 幅広く網羅 |
成長率の高さはナスダック
成長率の高さでは、圧倒的にナスダックが強いです。
これは明らかに、IT・ハイテク株の多さに比例しています。
次いでS&P500もIT銘柄が主体となっているため、利回りが高くなっています。
NYダウも3指数の中では劣りますが、それでも十分に高い成長力を有しています。
安定度は大型株主体のダウ
逆に安定度の面では、NYダウが最も高いでしょう。
リスクとリターンは比例するので、リターンの大きいナスダックは、リスクも高くなります。
IT株主体で構成されるS&P500も、安定度は決して高くはありません。
初心者にはダウがおすすめ
以上の特性を踏まえると、初心者におすすめの指数は、NYダウとなるでしょう。
3指数のなかでは安定度が高いため、初心者にも継続しやすい傾向があります。
成長率では他に劣るものの、過去30年間の平均利回りは8.4%もあり、十分すぎるほどの成長力です。
これよりもリターンを追えば、同時にリスクも高まってしまうため、初心者には適さないでしょう。
まとめ
以上により、今回は「NYダウ・ナスダック・S&P500」の違いについて、比較で解説させて頂きました。
ここまで解説してきた項目について、最後にもう一度おさらいしておきましょう。
🔳ダウ・ナスダック・S&P500の違い【概要を比較】
✅NYダウとは
✅ナスダックとは
✅S&P500とは
🔳ダウ・ナスダック・S&P500の違い【値動きを比較】
✅平均利回りの実績を比較
✅暴落時の、下落幅を比較
🔳NYダウ・ナスダック・S&P500の違い【総括】
✅成長率の高さはナスダック
✅安定度は大型株主体のダウ
✅初心者にはダウがおすすめ
「NYダウ・ナスダック・S&P500」の3指数は、それぞれにおいて特性が異なります。
上昇しやすい指数、下落しやすい指数があるので、自分のスタイルに合った指数を選定しましょう。
基本的に、リスクとリターンは比例します。
リターンを重視すれば、比例してリスクも高くなるため、十分注意するように心掛けましょう。