不動産投資にとっての最大の課題は、なんといってもリスクの高さでしょう。
不動産投資では株式投資などの他の投資と違って多額のローンを組んで行うため、失敗した時のダメージが大きいためです。
2018年にはスマートデイズとスルガ銀行により展開されてきたシェアハウス事業の破綻問題により、多くの投資家が経営難に陥る大騒動となり、その後は各銀行も融資に対し消極的となってしまいました。
不動産投資では通常、数千万円のローンを組んで物件を購入するため、まさにリスクとの闘いといえます。
失敗すれば多額のローンが重くのしかかるため、失敗する訳にはいきません。
そこで不動産に参入する投資家にとって必要なことは、あらかじめ不動産経営についてしっかりと勉強をし、リスクを洗い出し、考えられるリスクをすべて潰していく必要があります。
そこで今回は不動産投資におけるリスクの種類とその回避の方法について解説していきます。
不動産投資 リスクの種類
まず不動産投資のリスクの種類について洗い出してみます。
不動産投資 リスクの種類
✅空室のリスク
✅修繕のリスク
✅家賃の下落リスク
✅地価の下落リスク
✅悪徳物件のリスク
✅高金利融資のリスク
✅金利上昇のリスク
✅災害のリスク
少なく見積もっても、不動産投資にはこれだけのリスク要因があります。
『これではリスクだらけではないか!』と思う人もいるかもしれませんが心配無用、リスクについて勉強し、考えられるリスクをすべて潰していけば良いのです。
リスクの洗い出しはどんな経営においても必須要件です。
逆にいうとリスクの洗い出しをできない人が経営で成功できるはずがなく、不動産で失敗している人は、間違いなくリスクの洗い出しができていません。
それではリスクについて1つ1つ勉強しながら潰していきましょう。
ここで上記9つのリスクとその回避方法について解説してみたところ、とんでもないボリュームの記事となってしまったため、ここではリスクシリーズの第2弾として【家賃と地価の下落リスク】について解説していきます。
なおその他のリスクの解説については下記の別記事にてまとめていますので、あわせてどうぞ。
🔹あわせて読みたい
👉不動産投資 リスクの種類と回避の方法①【空室&修繕リスク編】
👉不動産投資 リスクの種類と回避の方法③【悪徳物件のリスク】
👉不動産投資 リスクの種類と回避の方法④【高金利&金利上昇編】
不動産投資 家賃の下落リスクと回避の方法
不動産投資には家賃の下落というリスクを伴います。
特に初心者に注意して欲しいのは、家賃は基本的に年々下落する傾向にあるため、購入時に想定していた家賃をずっと維持することは不可能です。
物件の築年数がどんどん経過するにつれ、新築時と同じ家賃では埋まらなくなります。
周辺に他の新築物件が供給されてきて、自分がいつまでも新築時と同じ家賃で募集していたら、顧客は当然他の新築物件へ流れますよね。
そこで家賃を引き下げることで需要を取り込み、物件を満室にするという構図が基本となります。
一般的には年1%程度の速度で家賃は下落するといわれており、大体10年で10%、20年で20%ほど下落することになります。
これは人気の高い好立地のエリアであればまだ良いのですが、郊外の物件等は将来的に人口減少が加速し、賃貸需要の低下が懸念されるため、家賃の下落幅も大きくなると思われます。
また都市部でも一部の供給過剰となっているエリアについては同様に賃貸需要の低下から、家賃の下落幅が大きくなると思われます。
不動産経営において重要となるのが、この家賃の下落を予めきちんと見込んで収支シミュレーションをしておくことです。
購入時は良くても、ローン完済までの将来に渡り、家賃の下落に耐えられるかどうかを予め確認しておく必要があるのです。
特に木造の場合には注意が必要で、耐用年数である築22年を超える頃には家賃の下落も大きくなることに加え、さらに減価償却も終了するため税負担も重くなり、ダブルパンチを受けることになります。
これはデッドクロスと呼ばれる現象で、下記の別記事にて詳しく解説しています。
このようなリスクをしっかりと勉強して理解した上で、将来の家賃下落に耐えられるかどうかをシミュレーションしておく必要があるのです。
そしてシミュレーションによって耐えられそうになければ、その物件の購入は見送るべきなのです。
不動産投資の収支シミュレーションを学ぶには、下記の書籍が大変参考となります。
Excelを活用して、将来の予想収支を計算してみましょう。
🔹今回の記事に関連するおすすめ書籍
不動産投資 地価の下落リスクと回避の方法
不動産投資のリスクには家賃の下落リスクとは別に、地価の下落リスクもあります。
購入した不動産の土地の価格が年々下落してしまうリスクのことです。
これの最も分かりやすい事例が1990年代のバブル崩壊です。
バブル時の地価は異常なまでに高騰したため、バブル崩壊後には地価が1/3 程度にまで下落しました。
これは実に恐ろしいことで、例えば1億円で買った土地が、数年後には3千万円になってしまったという現実に起きた事実です。
このような事態が起きてしまうと、巨額のローン残高だけが残ってしまうため売るに売れなくなってしまいます。
3千万円の土地に対し、ローンが1億円も残っていたら、売っても大赤字となってしまいます。
直近でも2008年のリーマンショックの際には地価がかなり下落しました。
収益不動産を持つということは、このように不動産自体の価格が下落してしまうというリスクも伴うということです。
東京都中央区の地価10年チャート
不動産投資 家賃や地価の下落リスクを回避するには
家賃や地価の下落を少しでも回避するには、やはり立地にこだわるしかないでしょう。
これから人口が減って高齢化が進んで行くことは揺るぎない事実であり、郊外の物件の需要が落ち込むのは避けられないためです。
少子高齢化と人口減少が進めば、人口はより都市部に集中するため、郊外の過疎化に歯止めが利かなくなり、人口の減少が止まらなくなります。
これは都市部においても同様で、少しでも駅に近い物件や、アクセスの良いターミナル駅に需要が集中し、その他の地区の需要は減少していきます。
エリアの人口推計を確認する
下図は人口問題研究所が公開している地域別将来推計人口より、東京都の主な市区町村を抽出した表になります。
これは国内の多くの地域で人口減少が加速し、たとえ今は良くても将来的には人口が大きく減少する地域がたくさんあることから、その動態を確認するものです。
日本の地域別将来推計人口
人口が減るということは賃貸需要が減ることを意味しますので、人口推計を見ることにより将来の賃貸需要をある程度推測することができます。
この資料より、東京都23区内では2045年になっても人口がほとんど減らず、むしろ増えていくエリアも多く見られることが確認できます。
しかし23区内においても足立区、葛飾区、江戸川区については2045年になる頃には人口が10%ほど減少してしまう見込みなっており、賃貸需要の減少が懸念されます。
その他、都下の市町村ではほとんどのエリアで人口が減少していく見込みとなっています。
このような資料を活用することで、将来の人口動態ならびに賃貸需要の推測をすることが可能となります。
その他の都道府県のデータについても公開されていますので、詳しくは下記の人口問題研究所のホームページより確認することができます。
まとめ
以上により、今回は家賃と地価の下落リスクについて解説させて頂きました。
少子高齢化と人口減少が進む将来の日本において、家賃や地価の下落リスクを少しでも避けるには、やはり立地にこだわるしかないでしょう。
郊外の高利回り物件を推奨する投資家も非常に多いのが業界の実情ですが、私は10年、20年先を見据えた場合にはリスクを伴うと考えています。
一発狙って高利回り物件に飛びついたところで、結局は痛い目に遭う可能性があるということです。
これらのリスクは不動産経営において全体の中のほんの一部のリスクであり、多くのリスクと向き合う必要のある不動産投資はまさに、リスクとの闘いともいえるでしょう。
不動産投資はあくまでも経営ですので、リスクは付きものです。事前にしっかりと準備と勉強をして、考えられるリスクを洗い出し、1つ1つ潰していきましょう。
不動産投資について学ぶには書籍にて独学で勉強をするのも良いのですが、初心者の方は何から始めれば良いのか分からない方も多いと思います。
そんな方は、一度無料セミナーに出てみるのも良いかもしれません。
なかでもファイナンシャルアカデミーが開催している『お金の教養講座』では不動産投資などの資産運用についての無料セミナーを実施していて、東京、横浜、名古屋、大阪の各校にて受講することができ、おすすめです。
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👉不動産投資 リスクの種類と回避の方法①【空室&修繕リスク編】
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