はじめまして、投資家の関原大輔(@sekihara_d)です。
今回は「HISの株価」の今後について予想して、回復に時間がかかる5つの理由を解説していきます。
🔳HISの株価は今後どうなる?コロナの被害は甚大
✅株価は一時1/4まで暴落
✅コロナ禍で、売上が激減
✅純利益は250億円の赤字
✅配当金も、一瞬で無配に
🔳HISの株価は今後どうなる?回復には時間がかかる
✅21年10月期も大赤字予想
✅コストの大幅削減を進める
✅国内旅行の売上拡大を強化
✅22年10月期の復調が目標
✅株価は決して割安ではない
「HISの株価は、今後どうなるのかな・・・」
今回は、そんな疑問にお答えしていきます。
【結論】HISの株価は今後、しばらくは横ばい圏が続くでしょう。
HISにとって、コロナの長期化による影響は避けられず、業績が大きく悪化しています。
対策としてコスト削減などを進めていますが、需要が回復するには、まだかなりの時間を要するでしょう。
今回は「HISの株価」の今後について予想して、回復に時間がかかる5つの理由を解説していきます。
HISの株価は今後どうなる?コロナの被害は甚大
それでは「HISの株価」の今後について、予想していきましょう。
HISにとって、コロナによる損失被害は甚大です。
まずはコロナ禍でダメージを受けた、株価と業績の現状から整理していきましょう。
株価は一時1/4まで暴落
HISの株価は、コロナをきっかけに大暴落となりました。
下図に直近20年間における、HISの株価チャートを示します。
エイチ・アイ・エス(9603)株価チャート_20年
2019年には4,400円まで上昇していた株価は、コロナを機に、一時1,100円まで暴落しました。
たったの1年で、株価が1/4となる大暴落となったのです。
そして21年5月現在では、株価は2,200円台まで回復しています。
コロナ禍で、売上が激減
HISの売上高は、コロナを機に激減しています。
下図にHISにおける、売上高の推移を示します。
20年10月期の売上高は、前期比で半分となる異常事態となっています。
エイチ・アイ・エス(9603)売上高の推移
(単位:百万円)
第1四半期(11-1月期)売上高の激減
(単位:億円)
また図下には第1四半期(11-1月期)で見た場合の、売上高の比較を示します。
この11-1月期だけで見た場合、売上高は前期比で19%となる、未曽有の窮地に陥っています。
これでは、株価が1/4まで暴落するのも仕方がないでしょう。
純利益は250億円の赤字
HISの20年10月期における純利益は、大幅な赤字決算となりました。
下図にHISにおける、純利益の推移を示します。
エイチ・アイ・エス(9603)純利益の推移
(単位:百万円)
HISにおける20年10月期の純利益は、▲250億円の巨額赤字となりました。
それまでは3期連続で100億円以上の黒字でしたので、事態の深刻さが分かります。
HISの業績は、まさに危機的な事態に陥っているのです。
配当金も、一瞬で無配に
HISの配当金はコロナをきっかけに、瞬く間に無配となりました。
下図にHISにおける、配当金の推移を示します。
エイチ・アイ・エス(9603)配当金の推移
(単位:円)
これまでは少しずつ増配を続けてきましたが、コロナを機に、一瞬で無配となってしまいました。
HISではこのように、売上が半分になり、株価は1/4に暴落、▲250億円の赤字、配当も無配となりました。
まさにコロナをきっかけに危機に瀕した企業の、代表的な事例といえるでしょう。
HISの株価は今後どうなる?回復には時間がかかる
ここまでHISにおける、株価と業績の現状について整理してきました。
そしてHISの株価は今後、しばらくは横ばい圏が続くでしょう。
以下に株価の回復に時間がかかる、5つの理由を解説していきましょう。
21年10月期も大赤字予想
HISにおける今後の業績は、しばらくは赤字が続くことが確実です。
下図に、HISの業績推移と見通しを示します。
エイチ・アイ・エス(9603)業績推移と見通し
(四季報 21年6月18日更新)
純利益は20年10月期の▲250億円に続き、21年10月期も▲250億円の赤字予想となっています。
HISの業績は今後も含め、2期連続の大赤字となることが確実です。
同社の業績が回復するには、まだかなりの時間を要するでしょう。
コストの大幅削減を進める
HISでは現在、コストの大幅な削減が進められています。
下図にコストの削減と、営業拠点数の削減状況を示します。
HISのコストはこの1年で、322億円→206億円と、▲36%も削減されています。
第1四半期(11-1月期)コストの削減
(単位:億円)
営業拠点数の削減(旅行業)
また旅行業における営業拠点数も、529店→365店と、▲31%も削減されています。
今後も追加の削減案として、1,000人の社員をグループ外へ出向させる計画が予定されています。
HISではこのように、コロナ禍に耐えるべく、大規模な事業改革が進められています。
改革は今後も継続して進められますが、業績が黒字化となるには、まだ時間がかかるでしょう。
国内旅行の売上拡大を強化
HISは今後の戦略として、国内旅行の売上拡大を掲げています。
下図にHISが公表している、国内旅行の拡大計画を示します。
コロナで海外旅行の需要が見込めないため、回復するまでは徹底的に、国内旅行を強化する方針です。
国内旅行の売上を強化
(単位:億円)
しかし国内旅行の売上を伸ばすにも、やはり時間はかかります。
上図の通り、23年度にようやく1,600億円を目指す予定ですが、海外旅行の穴埋めには遠く及びません。
HISの業績が回復するには、じっくりと時間を費やす必要があるでしょう。
22年10月期の復調が目標
HISの事業計画では、22年10月期までに、コロナ前の水準へ近づけたい計画です。
下図にHISの公表している、売上高の復調シナリオを示します。
22年10月期までに業績を回復させ、23年10月期にはコロナ前を上回る売上目標を掲げています。
HIS単体の売上高シナリオ
(単位:億円)
エイチ・アイ・エス(9603)業績推移と見通し
(単位:百万円)
また図下には、HISの業績推移と見通しを示しています。
アナリストによるコンセンサス予想でも、22年10月期には、何とか黒字化まで回復できる見通しです。
このようにHISの業績は、22年度で黒字化、完全回復には23年度までかかる見込みです。
それにはコロナが完全に終息する必要があり、世界情勢が戻るには、まだかなりの時間を要するでしょう。
株価は決して割安ではない
HISの株価は暴落したものの、実は割安な状況ではありません。
下記にHISの株価指標について、日経平均との対比を示します。
株価の指標(2021年7月時点)
日経平均 | HIS | ||
PER(会社予想) | 倍 | 13.5 | - |
PBR | 倍 | 1.2 | 2.0 |
配当利回り | % | 1.9 | - |
赤字決算なのでPERは非表示、配当も無配なので配当利回りはゼロです。
上記で唯一の指標となるPBRは2.0倍ですが、これは平均値と比べ6割以上も割高です。
このようにHISの株価は暴落したとはいえ、まったく割安ではありません。
よって株価が上昇するには、業績をしっかりと回復させるほかないでしょう。
まとめ
以上により、今回は「HISの株価」の今後を予想して、回復に時間がかかる理由を解説させて頂きました。
ここまで解説してきた項目について、最後にもう一度おさらいしておきましょう。
🔳HISの株価は今後どうなる?コロナの被害は甚大
✅株価は一時1/4まで暴落
✅コロナ禍で、売上が激減
✅純利益は250億円の赤字
✅配当金も、一瞬で無配に
🔳HISの株価は今後どうなる?回復には時間がかかる
✅21年10月期も大赤字予想
✅コストの大幅削減を進める
✅国内旅行の売上拡大を強化
✅22年10月期の復調が目標
✅株価は決して割安ではない
【結論】HISの株価は今後、しばらくは横ばい圏が続くでしょう。
HISにとってコロナの影響は甚大で、業績は危機的状況に陥っています。
業績の完全回復は、早くても23年10月期となる見通しです。
コロナが終息して世界情勢が戻るには、まだしばらく時間がかかるでしょう。
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